モスクワを歩いていると一際威厳を放つ巨大な建物に遭遇することがある。その外見はヨーロッパでよく見る建築様式でもなく社会主義リアリズム建築でもない。では現代的な高層ビルかと言えばそうではない。しかもこの建築物、一個ではなくモスクワに複数個存在しているのだ。実はこれらの建築物はスターリン建築 (スターリン様式)という特殊なものであり、マニア大喜びのスポットなのだ。
スターリン建築(様式)とは
まずはWikipediaを見ると以下のように書いてある
スターリン様式(スターリンようしき)(ロシア語:Сталинская архитектура)とは、ヨシフ・スターリン政権の時代のソビエト連邦で多く建てられた建築様式。特に、1933年(ソビエト宮殿の最終デザインが固まった年)から、1955年(ソビエト建築アカデミーが廃止された年)までの間に建てられた。第二次世界大戦以後のソビエト連邦内の大規模建築、特に超高層ビルに多く見られるほか、第二次世界大戦後にソビエト連邦の衛星国となった東ヨーロッパ諸国をはじめとする共産主義国家の建築にも大きな影響を与え、旧東ドイツの首都であるベルリンやポーランドのワルシャワ、中華人民共和国の北京、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌、モンゴルのウランバートルなどにもその影響を受けた建築物が建てられた。
簡単にまとめると、あの有名なスターリンがソ連の威権を世界に示すために作った建築物なのだ。上記のようにモスクワ以外でも旧ソ連圏の国に行くとたまに見かけることがある。あのスターリン指示の下建築されたということもありその外見は現在のモスクワでも一際異彩を放っている。
この建築様式、現在モスクワに7つ残されておりセブンシスターズと呼ばれている。なおスターリン建築を模したモダンなビルもいくつかモスクワに存在しているのだがそれらはセブンシスターズに含まれない。
セブンシスターズのラインナップ
- モスクワ大学本館
- 芸術家アパート
- ホテル・ウクライナ
- ホテル・レニングラード
- ロシア外務省
- ソビエト連邦運輸建設国家委員会
- 文化人アパート
それではそれぞれの場所と外観を見ていこう。
(*2016〜2019年間に撮影した写真達のため質にムラがあります)
1. モスクワ大学本館
おそらく一番有名かつラスボス感の強いスターリン建築の一つ。夜に行くとライトアップの効果も相まって大学というより帝都の要塞のような風貌を醸し出す。在学生以外は建物内部に入ることは出来ないが、建物外を歩くことは可能。
2. 芸術家アパート
モスクワ川沿いに位置しており現在は一般住人が普通に住んでいる。また名前の通りソ連時代は芸術家がこぞって住んでいたという話である。築70年程経過しているが現在でも人気物件でありその家賃は高い。たまにAirbnbに部屋が出現する。
3. ホテル・ウクライナ
キエフスカヤ駅近くに位置し、現在はその名のとおりホテルである。現在はカールソン・レジドール・ホテルズ参加に入っておりラディソン・コレクション・ホテル・モスクワという名前で営業している。内部は宮殿のように豪華な作りになっており★5ホテルの名に恥じない品質となっている。予約は普通にBooking.comからできる。
4.ホテル・レニングラード
こちらもその名の通りホテルであり、現在はヒルトングループの傘下に入っている。レニングラードスキー駅に隣接しており観光に便利な立地である。他のスターリン建築に比べると小ぶりである。こちらもBooking.comから予約が可能。
5. ロシア外務省
モスクワの目抜き通りであるアルバート通りに位置しており、現在は外務省のオフィスとして利用されている。このスターリン建築、よく見ろと他とは微妙に異なるのだがわかるだろうか?何かというとビルの頭についている部分のみ新しいのだ(素材が違うので白くなっている)。実はこれ元々は無かったのだが、施工完了後スターリンが視察に来た際に「なぜこのビルだけトップのモニュメントがないんだ」とのコメントを受け、急遽増築されたという逸話がある。さすがスターリン。
6. 文化人アパート
芸術家アパートと同様で、こちらも現在でも一般人が住んでいる。名前の通り昔は文化人が住んでいたとの話。こちらもAirbnbから予約できる部屋が少しある。(手持ちの写真がこれしか無かったので再撮影の必要がある)
7. ソビエト連邦運輸建設国家委員会
その名の通り、運輸機関建設省が入っている。こちらは手元に写真がないので地図のみ。
セブンシスターズの場所まとめ
すでにGoogleMapで個別の場所は紹介したが、最後に7つの場所を一つの地図にまとめておく。
スターリン建築はモスクワ以外では見ることが難しいので、是非とも一度見てみてもらいたい。
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